映画:『パプリカ』

元は原作が好きで、やっと観た映画版。

筒井康隆作品に林原めぐみが出るというだけで私得。

 

さらに今敏平沢進という

素晴らしいクリエイターを知れたことも大収穫でした。

 

読んだのがだいぶ昔でなので記憶は曖昧。

でも映画はかなり変更点があったように思います。

少なくとも映画で一番重要なパレードのシーンは

原作にはなかったはず。

 

夢を共有するマシン・DCミニが盗み出されたことで始まる事件。

この映画のハイライトは

DCミニ研究の責任者である所長がパレードの悪夢を見るところ

だと思っています。

 

突然「DCミニは精神治療の新地平を照らす太陽の王子様です」

「うん。必ずしも泥棒が悪いとはお地蔵様も言わなかった」

なんて、一瞬会話が成り立っているようで成り立っていない発言をし

建物から飛び降り、夢の世界へ旅立ってしまうのです。

 

そのパレードのシーンがすごい!

「周波数を同じくするポストと冷蔵庫が先陣を切る」わけですが

すでに何を言っているか自分でわからない。

 

そこで流れる平沢進の曲・パレードも素晴らしい。

底抜けに明るくて、だから不気味な曲なんです。

 

所長を救うのはサイコセラピスト・パプリカ。

原作では夢探偵だったような。

明るく、チャーミングな女の子。

 

その正体は千葉敦子。

DCミニの使用者、知的で落ち着いた美人です。

 

二人は同じだけど異なるという複雑な存在。

林原めぐみがしっかり演じ分けていて流石。

 

夢と現実がだんだん混じり合っていく様子を象徴するのは蝶。

そして千葉敦子がパプリカの夢を見ているのか

パプリカが千葉敦子を作り出しているのか曖昧になっていく様は

まさに胡蝶の夢のよう。

 

結末をいまいち理解しきれていないのでまた観ないと。

 

何度でも観たくなるのは「オセアニアでは常識なんだよ」。

ところでオセアニアは1894からかな?

 

そして今敏には虚構船団を是非映像化して欲しかった……

「三角定規」兄弟も出てくるしねえ。