映画:『銀河鉄道の夜』

好きな本や音楽にもモチーフとして出てくる銀河鉄道

銀河鉄道の夜』のあらすじは知っており

興味はありましたが、読む機会が中々ありませんでした。

 

映画版を見つけ、おもしろそうだったので鑑賞。

 

映画版の特徴といえば登場人物が猫で描写されていること。

些細な表情の変化から感情を読み取るように演出されているので

人間で表現するのとはまた違った効果があり、おもしろいなと思いました。

 

でもタイタニック号(と思われる)の乗客だけは

普通に人間として描かれているのも不思議。

 

なぜ猫なのか、人間なのかはWikipediaに詳しく載っていました。

 

ja.wikipedia.org

 

学校生活や活版印刷所での仕事は現実と地続きなのに

人気のない牛乳屋、お祭り、時計店の店頭の星座早見盤等

非現実的な風景を経てどんどん幻想の世界に入り込んでしまいます。

そして突然目の前に現れる銀河鉄道

 

何の説明もないままに話が進むことに少し戸惑いました。

主人公のジョバンニも銀河鉄道に乗っていることに

初めはまごついている様子でしたが

カムパネルラと話し、不思議な景色を見ているうちに

その違和感もなくなってしまったようでした。

 

プリシオン海岸は古代生物や化石好きからすると

とてもワクワクしました。

ここの学者先生は学校の先生に似ているような?

 

銀河鉄道には捕えると菓子(のようなもの)になる鳥を取る鳥捕りや

灯台守、盲目の無線士、賛美歌を歌う老婆等、不思議な人物も乗っています。

無線士は街で出会った老人、老婆は牛乳屋の留守番に似てるように思います。

 

沈没船に乗っていた濡れた体の少年、少女たちからも

銀河鉄道が死者を乗せていることは表されています。

 

ということはカムパネルラも死んだのだろうと推察できます。

するとどうしてジョバンニが乗っているのかが不思議でした。

しかしジョバンニが持つ切符は他の人とは違うどこにでも行ける切符。

他の人とは事情が異なることがわかります。

 

他の乗客が全て降りたのち

カムパネルラも去ってしまい、ジョバンニは現実に戻ります。

そして祭りでカムパネルラが溺れ

もう生きていないだろうことが伝えられます。

 

ジョバンニとカムパネルラの約束

「みんなの本当の幸いのためにどこまでも一緒に行こう」

を果たすことが出来ないのだなということもわかります。

 

作中に挿入される、やけて死んだ「蠍の火」のエピソードと

「本当のさいわい」について語る箇所が唐突に思え

意図していることを読み取るのが難しく感じられました。

 

自己犠牲のことを指しているのかとも思いますが

自分自身を粗末にすることが他人を幸せにすることだとは

私は思えません。

 

「本当のさいわい」についてはまた考えてみたいと思います。

 

作品としては化石や星座等、不思議で美しいものがたくさん出てきて

とても好みだと思いました。

 

 

せっかくなので小説も読んでみようと思います。